金融OLとの4回目の食事 ~食事中~

3月17日(水)19:51
僕は、金融OLとの待ち合わせ場所である海鮮居酒屋の前に到着した。
この日は仕事が早く終わったので、近くのマクドナルドで1時間半ほど時間を潰していた。
到着と同時に、金融OLからLINEが届いた。
19:51 金融OL) おつかれさま!
ごめんね、今終わって向かうから15分くらい遅れます。
やはり僕はその程度の男なのだ・・・
そんな当たり前にことに気づかないように、何も考えないようにしていたが、嫌でも気づかされてしまった。
金融OLの中では、あくまでも、仕事>>>>僕なのだ。
金融OLは10分遅れてやってきた。
ベージュのトレンチコートに、紺のパンツ姿。手にはコートと同じような色のバックを持っている。
今日も香水のふんわりとした香りがする。
僕達は入店し、指定された席に座った。
これまで僕が選んだ店は、個室があったり、落ち着いた雰囲気の店だった。
今日は狭く活気のある店。全くデート向きではないように感じる。
やはり金融OLはその気がなく、ただ食べたい物を奢ってもらえるという目的で来ているのだろうか?
金融OLがコートを脱ぐと、黄色っぽいセーターを着ていた。
よく見ると、髪形が少し変わっており毛先にパーマをかけている感じだ。
相変わらず可愛い。
定番の生ビールに、刺身3点盛り合わせ、カキフライ、サラダ、ブリカマを注文。
早速、生ビールが来て、乾杯をした。
キム 「あ、誕生日おめでとう」
金融OL 「ありがとう、平日だったからそれっぽくなかったけどね」
僕は、勇気を振り絞って誕生日プレゼントをカバンから取り出す。
もちろん、女性に誕生日プレゼントを渡すなんて生まれて初めての経験だ。
キム 「ちょっとプレゼント持ってきたよ、はい」
金融OL 「え~~、ありがとう。わ、可愛い。何々?」
キム 「え~と、洋菓子の詰め合わせみたいな」
金融OL 「そうなんだ、ありがとうね」
一応喜んでくれているみたいだが、どうなんだろう?
初めて女性にプレゼントを渡す、この不器用っぷりがバレバレだったのかもしれない。
ただ、用意した行動をできて僕は少しホッとした。
金融OL 「土曜日には職場の人4人と誕生日パーティーやったよ」
キム 「わ~、誕生日パーティーか、女子はそういうのやるんやな。楽しそう」
金融OL 「男子もやるんじゃない?うち2人は男性だったよ」
金融OLは前の勤務先で一緒だった3人ととても仲が良く、女2人、男2人のグループで旅行等も行くらしい。
しかし、恋愛感情は全くなく、同じ部屋で寝たりもしているとのこと。
僕は女友達という存在が、全く理解できない。
女性を見ると、ストライクかボールかを瞬時に判断し、ストライクだったらより深い関係に持ち込みたい、そしてボールであれば全く要はない。ただそれだけなのだ。
このストライク、ボールの判定は日常生活ではもちろんのこと、仕事でも常に行っている。
同僚女性という存在はいるが、あくまでも同僚というのはサブ的な要素。
あくまでも女性は女性。性の対象であり、友達などということは絶対にありえない。
モテない男性の大半はこの考えと同じはずだ。
そしてモテない女性の多くも、男性をまずは異性としてとらえているだろう。
異性を友達として見られるのは、異性に対して余裕のある証に違えない。
数々の経験があるからこそ、異性ではなく、友達というカテゴリーに異性を入れられる余裕が生まれてくるのだ。
きっと僕にはそんな日は訪れないだろう。
僕は今日金融OLと4回目の食事をしている。
そして、お互いのことを次第に知っていき、近づいてもいいだけのプロセスを踏んでいる。
しかし、金融OLを知れば知るほど、どんどん遠い存在に思えてくる。
僕は、女性経験が全くないばかりか、ただ1人の友達すらもいない。
こうやって、誰かと食事をすることも、会社での飲み会に2か月に1回程度出席するのみだ。
一方で金融OLは、普通にリア充の女性。
仕事帰りには現在の同僚と飲みに行く。さらに、前の職場での同僚とも仲が良く、学生時代の友達とも旅行に行ったり、結婚式にもよく参加しているようだ。
こんな僕達が付き合えるのだろうか。
僕は非リアの部分はなるべく出さないようにしていたが、さすがに就職試験の面接のときのように、リア充と嘘をつくことはできなかった。
そんな僕のことを知られれば知られるほど、金融OLとどんどん遠ざかって行く気がした。
金融OLは明るく話しも上手く、僕が非リアをだんだん分かってきても決して微妙な雰囲気にはならない。
それどころか、素敵な笑顔で明るく話をしてくれる。
でも、その笑顔が逆に僕とは住む世界の違う人なんだなという思いを強くする。
さらに、金融OLはこんな話を始めた。
金融OL 「うちの銀行の男性たちって、結構不倫してるんだよね」
キム 「え~、そうなん?」
金融OL 「え?そんな話聞かない?」
キム 「ないない」
金融OL 「そっちもさ、ちゃんとした会社で、それなりのステータスとかはあるじゃん?ちょっと遊ぶだけのお金もあるし。絶対してるよ」
僕も社会人になって、嫌々ながらも会社の飲み会には数多く出席した。
しかし、誰々が不倫しているなどという話には1回もなったことがない。もちろん、金融OLの言う通り、社内で不倫している人間もいるはずで、飲み会でそういうことをしている連中もいるに違いない。
しかし、僕のようなコミュ障の人間が居合わせるような、フォーマルな飲み会では決してそんな話にならない。
仕事や家族、趣味など当たり障りのない話だけをして、1次会で僕は帰る。
そこから先の少しディープな話をする2次会、3次会に僕は決して呼ばれることはないのだ。
金融OLは、そんなディープな会にもしっかりと出席しているからこそ、情報通なのだ。
やっぱり、恋愛だけではなく、全てにおいて、住む世界が違いすぎるのだろう。
ただ、いつもように色々なことを話して、本当に楽しかった。
ほとんど沈黙になることもなく、適度に笑いも生まれる。
こんな時間がずっと続けばいいのになと僕は思った。
8時過ぎから始まった食事は9時50分を迎えた。
店員が10分前になったとのことで、先に会計を取りに来た。
お代は6,156円。
もちろん、僕がカードで全額支払う。
金融OLは「何かいっつもだよね。悪いよ」 と言った。
会計も終わり、お茶を飲み干し、金融OLが「そろそろ出た方がいいのかな?」と言い、僕達は店を後にした。
金融OLとの距離を感じる結果となったが、今日の食事も楽しかった。
しかし、これだけで終わらせてはいけないのだ。
前回、最大の勇気を持って告白して、保留された。
今日こそは、もう一度押して、白黒はっきりつけてやるのだ。
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