金融OLとの3回目の食事 そして告白へ ~序章~

2月22日(月)23:45
僕は、布団に入り、電気を消したが眠れずにいた・・・
明日は、いよいよ金融OLとの3回目の食事。とうとう告白をする。
しかし、普通のリア充である金融OL。僕なんかが告白しても、十中八九フラれるに違えない。
たぶん、「ごめんね」とかやんわりと言われるんだろう。
それ以前に、これまでほとんど女性とまともに話したこともないのに、勇気を持って告白なんてできるだろうか?
僕は、学生時代からの経験に思いを馳せた。
目を閉じれば、昨日のことのように思い出される。
高校の入学式前日。
多少の不安と共に期待に胸を躍らせていた。
中学の時、女子と仲良くしているのは不良か相当にコミュ力の高い奴。
僕は、先生の言うことを忠実に守り、真面目に勉強や部活に取り組んできた。
しかし、不良達は先生に反抗し、勉強も部活もせずに、髪を染め、たばこを吸い、バイクを乗りまわす。
どちらがいい人間か、一目瞭然だ。
しかし、女子は僕には目もくれず不良の相手ばかりする。
学校で抱き合ったり、キスをしている姿を何度も見た。
なぜあんな悪い人間を選ぶのだろう?だからと言って、僕には不良になる勇気もコミュ力も持ち合わせていない。女子に話しかける勇気なんてさらにない。
そのため、ただ指を咥えて見ているしかなかった。
しかし、高校では違うはずだ。
勉強を頑張って進学校に入ったので、忌み嫌う不良はもういない。みんな勉強を頑張ってきた真面目な生徒。あいつらさえいなければ、女子も少しは僕を見てくれるかもしれない。
ただ、この期待は入学式とその後1カ月でもろくも崩れることになる。
進学校にも、不良っぽい奴&チャラ男はいるのだ・・・
入学式の当日、目を疑った。
40人クラスで男子が約半分。そのうちの2人が髪を染めているではないか。
いざ学校が始まると、その不良どもと同レベルのチャラ男は、いとも簡単に女子と仲良くする。
遠足のバスの中では盛り上がって、一緒にカラオケまで歌っている。
では僕はというと・・・当然のようにむさ苦しい男どもと一緒に行動を共にする。
女子と話すのは、「次の授業の教室どこ?」くらいの事務的な会話のみだ。
進学校に行けば、全員真面目で奥手なメガネ君ではない。
進学校には進学校なりの不良とチャラ男がいて、決して僕はそのグループに入れることはない。
僕が精一杯のオシャレと思い買った服は、彼らから見たら超ダサい服であり、高校デビューなんてまるでできなかった。
以後、大学、就職と今度こそ!と思い、挑む。
その場でうまくいかないのは、僕のことを分かってくれないから。
高校に行けば、大学に行けば、就職すれば、次の職場へ異動すれば、僕も周りも変わり上手くいくかもしれない。
そんな風に考えていた。
しかし、僕はある時思い知らされた。
社会人になって数年後に、正月休みで実家に帰った時。
近所に住む同級生が結婚することになったと親から聞いた。
彼は、お世辞にもイケメンとは言えない。体形も太っているし、目つきも悪い。正直僕のがまだ整っているかもしれない。
スポーツも勉強も僕のが上、友だちだって当時僕のが多かったと思う。
もちろん、彼女なんていたはずもない。
しかし、彼は20代中盤にして結婚する。彼のことを愛してやまない女性が世の中に1人はいるのだ。
僕が女性と食事にも行ったことがなかったというのに・・・
彼はどうやって、彼女を作ったのだろう。
おそらくだけど、数多くの失敗をしたのではないだろうか?
イケメンでもなく、これと言って優れた部分があるわけでもない。
その他大勢の冴えない男。
女性にアプローチしてもフラれることもあっただろう。その中で恥をかいたり、傷つくこともあったかもしれない。
それでも、彼は挑戦したことで、20代で結婚まで行きついたと思う。
思えば、大勢の男だってそうやって恥をかく中で、少しずつ経験が蓄積されて、成長していくのだろう。
電車に乗っているオッサンもみんなそうやって、女を経験したのだ。
対して僕はどうだろう?
高校でダメならすぐに諦め、大学でなら変われるかもしれないと淡い希望を持つだけで、何の努力もしていない。
今上手くいかないのは、周りが分かってくれないだけと言い訳をして、問題を先送りにしているだけ。
自分のちっぽけな自尊心を必死に守り、決して恥をかかないように、決して傷つかないように。
女性を誘うことはおろか、女性とろくに話さないまま30歳を迎えた。
最初多少の恥をかいて経験した同級生と、自分を守ることに必死だった僕。
結果的に、大きながついたのは必然だったのだ。
僕は今、人生の転換期にいる。
明日、金融OLと3回の食事をする。
もうこれ以上、自分のしょうもないプライドを守るのはやめよう。
かっこ悪くてもいい、失敗してもいい、笑われたっていい、傷ついてもいい。
この1歩を踏み出さないと、僕は永遠に変わることができない。
初めて異性を意識し、恥ずかしくて何も話せなくなってしまった中学1年の時から何も成長できない。
明日はやるしかない。
やるしかないから、やるしかない。
そう心に誓って、僕は眠りについた。
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