学生OLとお茶してきた①

3月5日(土)14:27
僕は、福岡市内のとある駅前広場にいた。休日というだけあって、多くの人が行きかっている。
この日はよく晴れて、3月上旬とは思えない温かさ。僕も、Tシャツの上に、水色のYシャツという薄手の恰好で来た。
待ち合わせ時間の14:30になっても、学生OLは現れない。
いくら顔写真を交換したとはいえ、遠くから物色しているのではなかろうか?
一応僕も何枚か撮っていい写真を選んだので、写真よりも実物が悪くて、帰ってしまうのではなかろうか?
そんな不安から、LINEを送った。
14:31 キム) 着いたよ。
すぐに返信が来た。
14:32 学生OL) はい。向かってます。
約3分後、「お待たせしました~」と学生OLが表れた。
・・・・あれ?
こんな顔だったか?
写真を交換した学生OLは、そこそこ美人だと思った。
マスクをしていたが、可愛かった。
正直なところ、妄想の中で数回枕を交わしたこともあった。
しかし、実際はその妄想とはかけ離れていた。
太っているとまでは言えないが、写真のイメージよりもぽっちゃりしている。
チャーミングだと思っていた目も決してそうでもない。
33歳は僕の中では、お姉さんでドンピシャの年齢だが、正直ちょっとオバサンってかんじだ。
僕たち多くの男は、女性を見た瞬間、無意識的にありかなしかを判断する。
人によっては、ストライクorボールかもしれない。
道行く女性に対して、
ストライク
ストライク
ボール
ストライク
ってな具合だ。
同じ審判でも、今日は外が広めだなと言われることがあるように、当然バイオリズムによってストライクゾーンは変化する。
ボール2個分くらいは簡単にひっこり変えることがあるのが、現実だ。
だが、会った瞬間に完全にボールだと思った。
たぶん明日も明後日も、1カ月後もボールじゃないだろうか。
ちなみに、大本命の金融OLは川口春奈ちゃんとつき合えることになった直後でもない限りは、毎日ストライクだ。
よく自撮り写真の上手い取り方とか、奇跡の1枚的な企画があるが、あれは本当にあるんだなと思った。
言い方は悪いが、詐欺写真に近いかもしれない。
しかし、僕のほうから誘っておいて「やっぱり辞めましょう」と言うことはできない。
「じゃああっちにカフェがあるので、行きましょうか?」と言い、僕たちは歩き始めた。
何か話した方がいいとは思うが、下がり過ぎたテンションのせいで、言葉が出てこない。
学生OLから話しかけてきた。
「会って逃げ出したいと思いませんでした?」
いきなり核心を突かれた気がした。
逃げ出したいとまでは思わなかったが、帰りたいと思ったのは事実だ。
もちろん、僕は「いやいや、決してそんな」と答える。
この後も会話は弾まずに、目的のカフェへと入店する。
駅前のカフェで、休日ということもあり店内は満席に近い。
僕はエスプレッソ、学生OLはブレンドコーヒーを頼む。
会計は合計で380円。財布を出す学生OLを制止して、僕が払っておいた。
実は僕は当初、ディナーに誘っていていた。しかし、学生OLが昼希望だったので、カフェでお茶にしたのだ。
学生OLのこの選択には、心底感謝している。もしもディナーで6,000円払うことになったら?僕は号泣していたかもしれない。
席についても、緊張とテンションダダ下がりで何となく会話が弾まない。
とりあえず、自己紹介をすることにして、僕は名前と簡単な仕事を言った。
学生OLも同じく自己紹介をする。
その後、少しの沈黙が続いたので、事前のLINEで持っていくと約束した資産運用の本を取り出す。
学生OLは「ふ~ん」と言いながらパラパラとめくっている。
僕は、何となくの内容を紹介した。
すると、学生OLは「読んでみるよ」と言い、カバンの中に本をしまった。
借りていくつもりなのか?現時点では、もう会うつもりはないので、本を2冊無駄にしたことになる。それとも郵送で返してもらうか?いやいや、住所教えたくないし、どうでもいいか。
その後、共通の趣味であるジョギングやサイクリングの話をした。
また、仕事、家族、学生時代の話もした。
時々沈黙はあるものの、過度に気まずいということもなく、それなりに会話は続く。
学生OLも時に、テンション高く話すこともある。
しかし、会話はうわの空だった。
出会った瞬間に、申し訳ないがボールと判断したが、何とかストライクになる余地がないかと思っていた。
というのも、最初ほとんど意識していなかった女の子でも、少し話したりしている内に、自分でもびっくりするほど好きになっていくことが過去にあったからだ。
せっかく会ってくれたし、趣味も合うし、何よりそれなりに会話もできるので、何とか自分自身のテンションを上げる方法を模索した。
学生OLの目を見ると、意外にもぱっちりしており、見方によっては可愛いかもしれない。
決して太っているわけではなく、ムチムチで興奮するような体形かもしれない。
よく見たら、それほど悪くもないんじゃないだろうか?
学生OLと話している間、僕はそんなことばかり考えていた。
必死になって学生OLを好きになろうと頑張っていた。ある程度、脳をごまかすことができれば、僕の下半身なら何とかなるかもしれない。
途中何度も、ストライクorボールの再ジャッチを自問自答し続けた。
しかし、何度行っても、結果はボールの判定。
とうとう2時間半の滞在中、判定が覆ることはなかった・・・
僕たちは17時過ぎにカフェを出た。
僕は駅から電車に乗り、家が近い学生OLはそのまま帰る。
学生OL 「ありがとうございました。ではまた~」
キム 「こちらこそ、本の感想聞かせてね」
僕たちは別れた。
僕は、何度も脳に嘘をつこうと問いかけたことから、ひどく疲れて家路についた。
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