読書感想文(『臆病者のための裁判入門』 橘 玲)

先日の3連休中に、図書館で借りて以下の本を読みました。
橘さんの本は、ハズレがなくどれを読んでも面白い。
本書は、前半は実際に橘さんが巻き込まれた少額の民事訴訟の話、そして後半では司法制度の解説をしています。
僕も、裁判傍聴マニアとして、知的好奇心をくすぐらされました。
今回、気になったのは司法制度の問題点を指摘した以下の点。
判決はケツを拭く紙ほどにも役に立たない
問題なのは、判決で負けても賠償金を払おうとしない被告だ。そのようなときために強制執行の制度があるのだが、日本ではこれがほとんど機能していない。
日本では、裁判所の判決があっても国税庁に税務情報を照会することはできず、公権力以外には銀行の取引内容を調査することなどできないのだから、被告はなんの苦労もなく強制執行を逃れることができるのだ。
この点は、本当に大問題だと思います。
何らかの裁判で負けて、賠償金を払う判決が出たらみなさんならどうするでしょうか?
このブログを読んでいる方は、真面目な人が多いと思うので当然払うと思います。
しかし、現実には払おうとしない人がいる。
普通のサラリーマンとかなら、給与を差押されて終わり。
でも、定職についていないような人にはそれができません。
本書で指摘されているように、個人には調査権が認められないので、銀行預金など勝手に調べることができません。
というか、散財してお金など持っていなければ、完全に開き直ることができます。
我々、サラリーマンで真面目にコツコツとお金を貯めている人間は、本当に社会的弱者。
何かあれば、がっさりと持っていかれます。
このことを、世間一般に分かってもらわないといけません。
反対に、プラプラして財産がない人間は、もう無敵です。
お金の面では、全然責任を負う必要がなく、何をやっても「しょうがねーな」でおしまい。
まさに、持たざる者は強し。
僕は、お金について詳しくなればなるほど、世間一般に言われている貧乏人が、いかに特権階級であるか分かるようになってきました。
ずる賢くて怠惰な人間ではなく、真面目で真に努力してきた人間が報われるように、少なくても不利益にならないような社会になることを願います。
今回の例で言えば、賠償責任がある人がお金を持っている、持っていないは関係ありません。
無い袖は振れないで済まされるのであれば、チャラい人間が得をするだけ。
払わない人間の情報は、どんどん開示して差押えをする。
本当に無いのであれば、それは無いほうが悪いのだから、懲役でも何でも課せばいいでしょう。
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