金融OLとはどうなった?

4月上旬、僕はそっと恋愛市場から退場したのだった。
5回も食事に行き、笑顔で語り合い「本当に楽しかった」と言われたけど、こんなにも簡単に終わりを迎えてしまうものなのだ。
やはり男と女というのは、それほどの関係でしかない。
金融OLと連絡を取らなくなって、僕にはまたいつもの日常が訪れていた。
7時前に起きて、朝食をかき込み会社に行く。
異動先で慣れない仕事に悪戦苦闘してストレスをためる。
夜返ってきて、簡単に夕食を済ませ、ブログを書いたり、適当にネットサーフィンをしているともう寝る時間だ。
0時前僕は布団に入り電気を消す。
目を閉じて、考える。
こうやって、何もないただしんどいだけの毎日が繰り返されていくのだ。
思えば、金融OLと連絡を取り合っている時、僕の毎日にはそれなりのキラキラがあった。
今度はここに食事に行って、こんな話をしよう。そして、あの場所でこうやって告白をしよう。
もしうまくいったら、一緒に色々としたいことがある。
そんなことを考えるだけで、僕の日常には光が刺していた。
しかし今は、社会の出来損ないの歯車としての毎日があるだけだ。
つい1か月前まで、あんなにドキドキしていて、まして女性と2人きりで食事に行っていたなんて信じられない。
こんなしょぼくれた自分にとって、1か月前の自分はすごい偉大に感じられた。
そんな思いも、時が経ち少しずつ消えかかっていた。
とうとう5月になり、通勤のために電車に乗っていた。
電車の中で目を閉じていて、ふと目を開けると、隣には近藤が座っていた。
金融OLと5回目の食事で行った焼肉屋で、まさかの遭遇をした同期だ。
実は、異動先は近藤と同じ勤務先だったのだ。
さすがに部署は違うので、ほとんど接点はないが。
無視をするのも気まずいので、話しかけた。
キム 「あ、どうもお疲れ様です」
近藤 「あー、そうか。異動してきたんですよね。仕事には慣れました?」
キム 「いやー、まだ全然ですよ」
近藤 「あ、この前の焼肉屋の女性、これ(彼女)ですか?」
やっぱり来た。
YAHOOパートナーで知り合って5回も食事行ったけどダメだったなどとは言いたくない。
キム 「そんなんじゃないですよ」
近藤 「えー、そうなんですか・・結構可愛かったんですよね。どうやって知り合ったんですか?」
キム 「僕SNSとかやってて・・・それでたまたま一緒に行こうってなって。他にも何人か行ったことあるけど、女性は初めてでしたね」
近藤 「SNSで共通の話題って、キムさんってそんな趣味とかあったんですか?」
キム 「まー、マネー関係とか」
近藤 「うっわー、すげー」
まあうまく乗り切ったのかどうか分からないが、とりあえず話をそらすことはできた。
ホッと一息ついた一方で、少しずつ忘れかけていた金融OLのことを再び思い出した。
4月後半から5月にかけて連絡が1か月以上なかったので、それまで毎日に考えていた金融OLのことをあまり考えない日も出てきた。
それが近藤と話をしたことで、はっきりと金融OLのことを思い出したのだ。
金融OLには、「休日にもどっか行ってみたい」と言われ、告白を保留された。
しかし4月は全部予定が埋まっていると言う。
5月になったので、また誘ってみてもいいかもしれない。
何より、休日デートして少しお茶をするぐらいなら、ほとんどお金もかからない。
結果は九分九厘ダメだろうが、可愛い子と一緒に過ごせるだけでも楽しそうだ。
でも僕は、結局連絡はしなかった。
どうやって久々にLINEしていいか分からなかったし、断られるのが怖かった。
仮にOKをもらっても具体的なデートプランを考えられる自信もない。
それに加えて、5回も食事に行き、誕生日プレゼントを渡し、大半を奢ったにもかかわらず、中途半端な返事をしてあっさりとフェードアウトすることに疑問を感じていた。
別に金融OLが特別に非常識なわけではなく、そんなことを思う僕のほうが非常識だろう。
でもどうにも納得いかないものがある。
こうやって経験を積み重ねていかないことは痛いほどよく分かるが、あと何回こんなことを繰り返せばいいのだろうか?
一生繰り返しても上手くいく保障などどこにもない。
僕は所詮、ブサイクでコミュ障なのだ。
果たして挑戦する価値はあるのだろうか?
こうして僕の女性を巡る思考は迷宮化していくのだった。
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