金融OLにザオラルメールを送ってみた②

金融OLに2ヶ月ぶりのLINEを送るという一大決心をした後、僕は返信を期待しないように心の調整を試みた。
相手の気持ちにもなってみよう。
やんわりとフェードアウトした男が2か月ぶりにLINEを送ってきた。
何を今さらと思うのが普通だろう。
いや、休日デートを最初に提案のは金融OLのほう。
万が一それなりに行く気があったと仮定すると、僕の行いはさらに悪いかもしれない。
金融OLのそんな気持ちを無視して、2ヶ月も放置したのだから。
いずれにせよ返信がくる確率はそう高くないはずだし、ましてや今さら休日デートにこぎ着ける確率は5%ぐらいだろうか?
期待するだけバカバカしいから、あまり考えないように、土曜日の平穏な夜を過ごそう。
と自分を言い聞かすものの、5分おきにはLINEをチェックしてしまう。
予想通り、既読にすらなっていない。
もしかして、彼氏でもできて今頃は・・・僕のLINEもブロックされているのかも。
11時45分になり、布団に入った。
たぶんダメだろう、いやダメに違いない。
でもこれでスッキリした。
もう少し仕事に余裕が出てきたら、新たなサイトにでも登録してみようか。
そんなことを考え、うとうとし始めたとき。
枕元に置いていたスマホから、LINEの振動があった。
すぐさま、スマホを手に取り画面を見た。
そこには、夢にまで見た金融OLのアイコンが表示されていた。
6月12日(日)
0:06 金融OL) 久しぶり。
最近もとくに変わらずな感じかなー。
そっか、異動って言ってたね!落ち着いてきてよかった。異動先はどんなかんじなの?
まさかの返信があった。
しかも最後は質問で終わっている。
もう終わらせたい男に疑問形で返す女子がいるだろうか?
答えはNOだ。
少なくても、今後のLINEラリーは保証されたに違いない。
恋愛の神様はまだ僕を見捨てていなかったようだ。
ここで僕には2つの選択肢がある。
すぐに返信するか?明日まで待つか?
熟慮の結果、明日まで待つことにした。
2時間後に返信した金融OLに対して、すぐに返信するなど究極の非モテコミットではないか。
あくまでも僕の行動は恋愛工学に従ってのものなのだ。
昨日の興奮から30分以上眠るのに時間がかかった。
最初朝6時に目覚め、7時半まで2度寝。
外は雨が降っているようだ。
眠い目をこすりながら、スマホを見ると確かに金融OLからLINEの返信が届いている。
どうやら現実のようだ。
布団から出て、シンクの掃除をして、そうめんと目玉焼きを作った。
8時40分、ちょうどサンデーモーニングのスポーツコーナーが始まる時間に合わせて朝食を食べ始める。
いつもの日曜日。
だが、この日はいつもの日曜日とは違っていた。
平穏なだけではなく、大きなワクワクが目の前にはあった。
張本さんのコメント聞きながら、メッセージを送った。
異動先の仕事の内容などだ。
金融OLも勤務地等を質問してくれる。
相変わらず返信は2時間以上空くが、その日の昼まで2往復のやりとりをした。
文面より、早く終わらそうとしている雰囲気でもない。
もしかしたら、金融OLは複数の男からアプローチされつつも、なかなか決めかねているのかもしれない。
だとしたら、僕にもチャンスはある。
なにしろ、5回も食事に行き、ボディータッチまでし合った仲なのだから。
もう迷っている暇はない。
当たって砕けるだけだ。
14:59 金村) 前に休日どっか行こうって言ってたやん。
あの話ってまだ生きてる?
送った後に僕は少し後悔を感じる。
弱気すぎる、女の子に慣れていない感が強すぎる。
もっと「言ってたみたいに休日遊びに行こうよ」ぐらいで誘えばよかった。
必死のメッセージは1時間程で既読になるが、金融OLからの返信はない。
どうやって断るか考えているのか?
いや、その気がないなら、あんなに色々聞いてくるはずない。信じて待とう。
僕は普段の休み通り過ごすことにした。
16時から動画を見て、布団でゴソゴソする。終わればお昼寝タイム。
ちょうどゴソゴソを始めたとき、スマホにLINEの振動が来る。
16:28 金融OL) うん、生きているんじゃないのかな?
生きてるんじゃないのかな?
なぜ疑問形なのだ?
それは紛れもなく、行きたいという強い意志がないから。
しかし、逆を言えば、行きたくない意志までもない。
誘われれば行くはずだ。
今僕が取りうる最善の選択は、押し切るという一択のみだ。
17:08 金村) よかった!生きてた。
じゃあ都合のいい日に行こう。
本当は、来週?再来週?ぐらいに予定を詰めたかった。
早く結果が欲しくて、仕方がない。
でも、あまりの貪欲さにひかれてしまうに違いない。
ここは焦らず、じっくりと。
割と早めに金融OLから返事が来た。
18:02 金融OL) そうだね、都合のいい日教えてね☆楽しみにしてます。
た、た、楽しみにしてます!?
さすがにOKということだろう?
しかも都合のいい日を教えてねと予定を詰めてもいい展開まで用意されている。
僕は早速返信した。
18:20 金村) 悲しいかな、僕って都合のいい男やからだいたい大丈夫!
来週の日曜日とか、再来週なら土日とも。
全然予定合わせるよ。
今回、僕はあまり気取らないことにした。
以前は非モテコミットを極端に避けるがあまり、べからず集を自分の中で作りすぎていた。
そして、会話は制限されたものになってしまい、同じような内容を繰り返すことに繋がった。
それがマンネリ化を生み、本来回を追うごとに盛り上がるはずの会話はいまいち。
もう少し自分を見せていこう。
そして、本来の僕は隙あらば小ボケをかましていく。
それで丁寧に突っ込んでもらうのが快感なのだ。
その小ボケというのが、「都合のいい男」である。
これでいい、これでいいのだ。
取り繕った僕で結局ダメだったのだから、何かを変えないといけない。
ダメ元なので、本当の僕で勝負しよう。
もちろん、恋愛工学は取り入れつつだが。
メッセージを送った後、僕は考える。
金融OLも「都合のいい日教えてね」というぐらいだから、前みたいにこの先1ヶ月予定で一杯などということはないはず。
今月中には、休日デートにありつけるだろう。
でも、僕は休日デートなどしたことがない。
一体どんなプランでいけばいいのか?
例えば、金融OLから再来週の土曜日と返信があれば、行先を提案しなければいけない。
僕は必死に考える。
近所の大型公園、太宰府天満宮、柳川、福岡のシーサイドエリア、動物園、水族館、ボーリング・・・・
一体何時に集合して、昼ご飯はどうするのか?
長い時間一緒にいたら、僕が初めて女性とデートに来たとバレてしまうかもしれない。
百戦錬磨の金融OLにすべて見透かされそうな気がする。
僕は金融OLの返信が早く来てほしいと思いつつも、考える時間をもっと与えてほしいという自己矛盾を抱えながら、夕食をかきこむ。
この2ヶ月決してなかった、嬉しい悩みを噛みしめながら。
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