2代目さんとのその後①

複雑な気持ちで帰宅した僕は、まずシャワーを浴びた。普段1時間以上ぶっ通しで話すことがないので、いくら美女だからと言ってもひどく疲れていた。いや、美女だからこそ疲れたのかもしれない。シャワーを終えた僕は、スマホを見る。当たり前だが、2代目さんからは何のメッセージも来ていない。まあ、このまま僕から連絡しなければ終わってしまうのだろう。僕には手ごわすぎる相手かもしれないが、タダで食事に行って、あわよくばという計画は諦めていない。LINEで少し話を繋いでおき、ミステリショッパーが当選したところで、食事誘ってみよう。まずは、本日のお礼を送る。
16:39 金村) 今日はありがとう。
ちょっと前に家に帰ってきて、まったりしています。
ここ数年で一番音楽に触れた1日やったかも(笑)楽しかった。
メッセージはなかなか既読にならなかった。2代目さんは、買い物に寄って帰ると言っていた。もう家に帰っていてもおかしくないと思うが、何をしているのだろう。このまま未読スルーなのか・・・もう終わるかもしれないので、まだ少しでも可能性が残っている間に2代目さんをオカズに1発やっておこう。僕はおもむろに布団を敷いて強く刺激を加え始めた。これまで10回ぐらい2代目さんで妄想しているが、実際の顔を見た後だとリアリティーが違う。約10分間で僕は激しくぶちまけていた。疲れもあって、その後うとうとし始める。目が冷めてスマホを手に取ると、ちょうどLINEが来ていた。
18:13 2代目さん) 今日はありがとう!ごちそうさまでした。
わたしも韓国語やってみようかな。
返事が遅かったが、とりあえず返事は来た。ごちそうさまでしたに続けて、韓国語の文字も入って少し話が広がる返しをしている。まだ可能性は0じゃないだろう。さすがにすぐに返信するのも非モテコミット丸出しなので、夕食を作り終えた後に返信する。
18:38 金村) おぉ!素晴らしい好奇心。
英語と違って日本語と語順が同じで助詞もある。漢字が元になってるから同じような単語も多くて、日本人が習得しやすい言葉らしいよ。
やる気あったら、テキストとか紹介します。
僕も勉強再開してみようかな。
送ってから僕は後悔する。こういうのをマジレスっていうんじゃないか・・・おそらく社交辞令なのに対してこの返し。きっと2代目さんは引いてしまったのだろう。その予感は的中し、その日は夜になっても返信が来ることはなかった。
次の日、起きると返信が来ていた。
6:50 2代目さん) おはよー。文法が似てるって草なぎ剛が言っていた^^笑
朝から返信をしてくれて嬉しいのだが、最初の頃に比べて明らかに文書が短くなっている。ふんだんに散りばめられていた絵文字はもうない。ここですぐに返信すると、非モテコミット感丸出しなので、夜まで待つことにした。僕は月曜日の憂鬱な仕事を終えてから電車の中で返信する。
18:25 金村) チョナンカン!あんなけしゃべれたらスゴいよな。
そういえば、面と向かって話振れへんかったんやけど、東野圭吾の本どうやった?
以前僕が勧めた東野圭吾の本を2代目さんが買ってくれたので、その話題で少しでも話を広げることにする。夜遅くになってやっと返信が来た。
22:22 2代目さん) それが、まだ読めてないんだよー。
他に読まないといけないのがたまっていて。。
この返信、まるで自分が東野圭吾の本の本になった気分になった。おそらく可愛く社交的な2代目さんには他の男の食いつきもいいに違いない。その中には、僕よりもチャラい奴、社交的な奴、ルックスのいい奴、仕事ができる奴がいるだろう。そんなメンツに比べたら僕は・・・・まさに他に話したい男がたまっていて後回しにされていることが明白だ。もしかしたらそこまで意図して、2代目さんは言っているのかもしれない。急速に冷めていく2台目さんのLINEを見ていると、そう感じずにはいられなかった。しかし、僅かな可能性にかけて、僕はLINEを送る。
22:39 金村) なかなか多忙やな。って何か急かしてる(笑)
僕も紹介してもらった本まだ買ってないんよな~。
初期の2代目さんなら当然返信があったはずだが、今や疑問系のないLINEには返信は望めなくなっていた。当然、この日もなかった。以前のように、朝一番で来るかもと少し期待するもやっぱりない。たぶんもうダメだ・・・
今後の僕のプランはこうだ。
本日の8月29日(火)には10件ぐらい応募しているミステリーショッパーの居酒屋調査の結果が出ることになっている。当選すればもちろん誘う。断られる可能性が極めて高いがそれならそれで仕方がない。万が一行ってもらえた場合でもその後の展開はまず望めないだろう。しかし、2代目さんにも食事代を少し負担させれば食事代の実質負担は0円。可愛い子とただで食事できて、もしかしたら・・・と期待できるんだから当初の目標は達成したことになる。
僕はミステリーショッパーの当選を期待しながら、重い足取りで仕事に向かうのだった。
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