2代目さんとのその後②
8月29日(火)午前中の仕事を何とか無難に終えた僕は、昼休みに入るとすぐさまスマホを確認した。ミステリーショッパーの当選状況を確認するためだ。しかし、メールはなし。サイトにログインしてみるとまだ調査は行われていないようだった。さらに午後の仕事を終えて見ても、まだ抽選が行われていない。帰宅中、夕食中も逐一抽選状況をチェックするが、行われる気配がない。22時頃に再度確認すると、抽選日が1日延びていた。
8月30日(水)前日と同じように、昼休みと夜にチェックするがこの日も同様だった。そして再度の1日延期。それは8月31日(木)も同じであった。一体いつまで焦らすのだろう。
ところが、9月1日(金)の昼休みに見ると抽選が行われた模様だった。しかし当選にはなっていない。ただ、落選と決めつけるのはまだ早い。当選した場合でも、すぐにメールが来なかったり、サイト画面に反映されていないことがある。とりあえず夕方まで待ってみよう。夕方仕事が終わり、待ちに待った週末の入口に入るはやいなや、スマホを見た。やっぱり当選メールは来ていない。さすがに落選したんだろう。
ここで僕は考えた。2代目さんとの食事はどうしよう?
会ってからの2代目さんの反応を見ると、フェードアウト臭がプンプンする。少なくても僕のことが気に入って積極的に付き合いたい気持ちにないことは明らかだ。仮に今食事に誘い、万が一OKを貰って自腹で食事に行っても初夜を迎えられる可能性は極めて0に近い。無料で行けるのであればいくらでも誘えばいいが、ミステリーショッパーの落選と2代目さんの食いつき状況を見ると、とりあえず誘わないという結論が最適解だろう。今後当選した時にでも、ザオラルメール的なかんじで誘ってみよう。
僕の今回の狙いはあくまでも女性と無料で食事に行って、もしかしたら今夜・・・というトキメキを感じること。大前提は無料でなくてはいけない。それに僕は1分1秒でも早くセミリタイアを狙っており、そのためには金を貯めないといけない。抜群の食いつきで物に出来ることが確からしい状況であれば、多少の自腹もいいだろうがこの状況で金を払うのは、セミリタイア志望者にとってあるまじき行為。あくまでもセミリタイア>>>>>>>女が僕にとっての絶対価値観。一生女に相手にされなくても、辛い仕事さえなくて、毎日穏やかに生きることができればそれでいい。そう、僕にはセミリタイアという大目標があり、金食い虫である女などにうつつを抜かなしている暇も金もないのである。
こう理性で自分に言い聞かせるが、その裏で本能の僕が異論を唱え始める。僕の目標はセミリタイアではなく幸せになることだ。そして女というのは劇的に幸福度を上げる可能性を秘めている。事実、2代目さんとyoubrideで出会いLINEを交換して、頻繁にLINEを送り合っていたあの頃、僕の脳からは変な物質がいっぱい出ていた。枕を「んーーーー」って言いながら抱きしめて幸せな気分になっていた。ミステリーショッパーに落選して、直近に無料で食事できるチャンスはなくなったが7,000円ぐらいで楽しめるなら、全然安いものじゃないか。それにこれが僕にとって最後のチャンスになるかもしれない。youbrideでは、2代目さん以降継続してメッセージのやり取りをしている女性はいない。そしてセミリタイアして無職にでもなれば絶望的だ。そうじゃなくても、最近急速に白髪が増えてきており、ハゲ具合ももはや隠しきれないほど進行してきている。今を逃すと一生女性と食事に行く機会すらないかもしれない。
理性vs本能の一進一退の闘いに決着がついたのは、9月2日(土)の夕方だった。僕は2代目さんにLINEを送ってしまった。
16:37 2代目) 今週も仕事がそこそこ忙しくて週末はまったりしています。
前、お茶して僕的には楽しかったので、またご飯でも行きたいんやけど、どうかな?
僕は人生最大の目標であるセミリタイアに逆行する流れを行っている。ほとんど可能性のないことに対して7,000円も使おうとしている。7,000円あれば1日は辛い仕事に行かなくていい。無理ゲーな女性のために使うのか?自分の本当の目標のために使うのか?どう考えても答えは明確で後者が合理的な選択となる。しかし僕は前者を選んでしまった。夢にかけたいという青臭い理由で・・・僕はセミリタイア志望者失格だ。偉そうにブログを書いている資格なんてないかもしれない。
いつも誘ったあとは結果が気になって仕方がない僕だが、この日は何だか達観したような気分だった。もはや可能性がほとんどないことは分かっていた。そういう意味では早く白黒つけて次へ進むため、はっきりと断られることを目的に送ったという深層心理もあるのかもしれない。当然のようにすぐに返信は来ずに既読にすらなっていない。
そして、それは突然やってきた。
21:35 2代目さん) こんばんはー!ごはん、いいんだけど、しばらく予定がぎっしりでね~~
このメッセージを翻訳すると「もうあなたとは会いたくありません」となる。恋愛経験0の僕にもそれは分かった。女というのは、決してはっきりと断らずに、結論を曖昧にしてそのままフェードアウトする動物だ。
行きたいけど予定がぎっしりで行けないなどということは言うことは世の中に存在しない。一国の総理大臣でもない限り、まして普通のOLで週休2日でもあるのだから、本当に行きたい場合は予定など如何様にでもなる。これははっきりとした拒絶のメッセージなのだ。
僕はこれまで2回目の食事には必ず漕ぎ着けてきた。しかし、今回は2度目の食事で断られるという史上最悪の結果になってしまった。銀行員が融資を検討する場合、断る融資ほど早く結論を出すのが相手のためだと何かで聞いたことがある。そういう意味では、2代目さんは銀行員らしく、生理的に無理だった僕に対して早く結論を出してくれて、ありがたかったのかもしれない。結果がダメなのに、食事にだけ行って貴重な金を使うセミリタイアから遠ざかる行為を未然に防げたのだ。
そうだ、これは2代目さんから僕のセミリタイアに向けた叱咤激励に違いない。やっぱり僕にはセミリタイアしかない。
この日は、昨日までの暑さとはうって変わって涼しい風が吹いている。もう夏が終わって秋なのかもしれない。秋の訪れと同時に僕の短い短い一方的な恋は終わりを告げた。そして実りの秋と言うように、僕はセミリタイアという大きな実りを目指す決意を再確認したのであった。
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