『コンビニ人間』 村田沙耶香 の読書感想文

久々の読書感想文記事です。
先日、図書館で以下の本を借りて読みました。
普段、小説はなかなか記事にしませんが、今回は気づきがあったのでご紹介。
内容を理解してもらうために、Wikipediaよりあらすじを。
ヒロイン古倉恵子は三十半ばだが、正規の就職をせずに大学時代に始めたコンビニのアルバイトを続けている。
子供の頃から変わり者で人間関係が希薄、恋愛経験も皆無だった古倉は、コンビニで仕事を始めたことをきっかけに周囲の人たちの真似をしたり妹の助言に従ったりすることで普通の人らしく振る舞う方法を身につけ、この経験をこれまで世間一般の人間の規格から外れていた自分が初めて「人間」として誕生した瞬間と位置づけていた。以来古倉は私生活でもそのほとんどを「コンビニでの仕事を円滑に行うため」という基準に従って過ごしつつ、なんとか常人を演じ続けてきた。しかし、加齢やそれに伴って周囲からの干渉が増えたことによりそのような生き方は徐々に限界に達しつつあった。
そんな時、古倉はかつて就労の動機を婚活だとうそぶき、常連の女性客につきまとい行為を働いて解雇された元バイト仲間の白羽という男と再会する。ひょんなことから白羽と奇妙な同居生活を始めることになった古倉は、それを「同棲」と勝手に解釈して色めきたった周囲の人たちの反応に若干の戸惑いをおぼえつつも冷静に彼らを観察し、白羽との関係を便利なものと判断する。
以下は2人の会話シーンです。
「きっと奴らは、僕を引き摺り出して叱ろうとする。けれど僕は絶対に行かない。ここに隠れ続ける。そうしたら、次に叱られるのは、古倉さん、あなたですよ」
「私・・・・・・?」
「何で無職の男を家に住まわせているんだ、共働きでもいいが何でアルバイトなんだ、結婚はしないのか、子供は作らないのか、ちゃんと仕事しろ、大人としての役割を果たせ・・・・・・みんながあなたに干渉しますよ」
「今まで、お店の人にそんなこと言われたことないですよ」
「それはね、あなたがおかしすぎたからですよ。36歳の独身のコンビニアルバイト店員、しかもたぶん処女、毎日やけに張り切って声を張り上げて、健康そうなのに就職しようとしている様子もない。あなたが異物で、気持ち悪すぎたから、誰も何も言わなかっただけだ。陰では言われてたんですよ。それが、これから直接言われるだけ」
普通と違うことには干渉してくるけど、おかしすぎると干渉されない。
そこから少しまともなおかしさになると、干渉が始まる。
この部分が「あ~、わかる、わかる~」って感じで、面白く読んでいました。
例えば、僕は仕事も恋愛もダメです。
でもそのダメさ具合は違っている。
仕事はダメながらも、一応出勤はして、失敗しながらも業務をこなしてきました。
これはたぶん、干渉できるレベル。
黙っていても、飲み会などでは仕事の話を振られ、時には説教を食らうこともありました。
しかし、恋愛はヤバすぎて触れられないレベル。
言ってはいませんが、立ち振舞などから童○臭が出ているのでしょう。
30歳過ぎて、女性と付き合ったこともない。
それどころか、出会い系以外では、キスや手つなぎはおろか、食事にすら行ったこともない。
たぶん周囲も何となくそれが分かっていて、飲み会で恋愛の話になっても、一切話題を振られません。
そりゃー彼氏と上手くいかないとか、このまま結婚してもいいのか?とか、超高度な話題には全く馴染みません。
もちろん、こんな風に女性を誘うんだよとかアドバイスされたことは皆無。
この反応の違いで、僕の仕事力と恋愛力の客観的なレベルが把握できます。
仕事力は干渉されるので、普通にダメなレベル。
干渉すらされない恋愛力は、相当にヤバいレベル。
周囲の反応って、面白いですね。
以前、小説って学ぶこともない単なる暇つぶしに読むものだと軽視していました。
しかし小説を読むようになって、物語の中に、面白い感性だったり、多くのことが散りばめられていると分かりました。
幅広いジャンルの本を読んで、感性豊かになりたいものです。
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