敷かれたレールの上は危険

セミリタイアするまでの僕は、謂わば敷かれたレールの上を走ってきた人生でした。
大学を卒業して普通に就職。
その後は、決められた仕事をやってきたわけです。
よく敷かれたレールの上を走るのは、面白くはないかもしれないけど楽だぞと言われます。
ただ敷かれたレールの上を走ってみて、決して楽ではないぞと実感しました。
言うまでもなく、レールの上を走っている電車は僕だけではありません。
僕は7:30発の山手線ですが、前後には7:27発の山手線、7:33発の山手線が走っています。
山手線だけではなく、東海道線も京浜東北線も湘南新宿ラインも同じレールの上にいます。
そんなレール上では、当然厳格な運行マニュアルが存在する。
そのマニュアルをしっかりと理解・暗記して、正確に執行する能力が求められる。
もしもその能力が欠けていて、マニュアル通りにできないと、たちまちダイヤは乱れて、混乱することになります。
僕は自分のせいでダイヤを乱してしまい、多くの人に迷惑をかける場面が度々ありました。
鉄道会社は組織的に対応するので、電車が遅れたからといって、個人が矢面に立つことは基本的にありません。
でもミスした張本人は、自分のせいで運行が乱れているというのははっきり分かります。
これが本当に辛かった。
敷かれたレールの上が楽だと言うのは、あくまでも運行マニュアルを遵守できるだけの能力がある人の感覚。
ポンコツ人間にとっては、一瞬たりとも気が抜けない、かなり危険な場所でした。
僕は今レールから外れて、荒野を走っている車です。
鉄道会社に所属していないので、車体の整備からルート確認まで、何でも自分でやらないといけません。
車の性能は悪く、道もデコボコで、効率的に走ることは不可能。
横を走る快速列車に、どんどん抜かれていきます。
しかし、もう難しく、頻繁に改定される運行マニュアルを気にする必要はありません。
運転をミスっても誰かに迷惑をかける怖さはないし、最悪止まっていても他の車が勝手に追い抜いていくだけです。
そして上手く行けば、レールの上を走っていては決して見ることができない景色に出会えるかもしれないワクワクもあります。
もう敷かれたレールの上を走る気にはなれません。
ただ1点、燃料の確保だけはしっかりとしておきたいと思います。
- 関連記事
-
- 僕はとある新興宗教に入っています
- 敷かれたレールの上は危険
- 満員電車通勤で学んだこと